「燦SAN」を語ろう!

『居心』公演一週間前の大変忙しい最中に、作・演出の加納朋之さん(文学座)と制作の佐藤尚子さん(青年劇場)に今回の作品『居心』や「燦SAN」について語っていただきました。聞き手は団員の内山澄子(うっちー)さんです。

ではどうぞっ!

本番直前インタビュー
本番直前インタビュー:左から 佐藤さん 加納さん うっちー

うっちー:

まず今回の『居心』を書かれた加納さんにお聞きします。この作品には劇中劇として縄文時代のストーリーが入っていますよね。この劇中劇に敢えてこの『春雷』を選ばれたのはどうしてですか?

 

加納さん:

『春雷』というのは、青年劇場で『シシとササの伝説』でやられた作品なんです。去年、その本を読ませてもらって、なかなか良い作品だと思っていたので『居心』に入れてみました。

 

佐藤さん:

『春雷』は、元々は高校の先生だった方が書かれた小説で、遊びがテーマになっています。ホモルーデンス、遊ぶ人って意味ですけれども、台本にもそう書いてありますが、演劇っていうのは究極の遊びじゃないかってね。まあ燦のメンバーが、『春雷』でどこまで真剣に遊べるか、あるいは遊んでいることをどういう風に自分たちで捉えているかって、また実際自分たちで芝居にその想いを乗せてみるとどうなるかなっていうのを期待していました。

 

うっちー:

『居心』は、当て書(あてがき)されたということですが、良かったこととかご苦労されたこととかありましたか?

 

加納さん:

当て書ってのを自分のH.H.G.という劇団でも何本か書いているんですが、それは7、8人の芝居のために書いているんです。でも今回は20人以上ですので、かなり難しくて。この言葉は、この感じは、誰が言うと良いかなとか、この人の声だとこういう感じになるかなとかイメージしてはいました。まあ、それほど個々の人に当ててというよりも、もうみんな4年目だし演じるってこともできるようになってきるんで、こっちに書いたものを演技してもらって、その役になってもらえれば良いわけで、そういうところではそんな苦労は無かったんです。ただ人数が多いので、今誰がここに出てんのとか、誰が引っこんで誰がこの場に居るのとか。これにはかなり苦労しました。実際、ホワイトボードを使って、そこに名前を全部入れながら、それで、あ、ここに居る、ここに出てるって感じで、そうやってましたね。そこら辺が大変でした。

 

うっちー:

ありがとうございます。

では、今回の第4回定期公演『居心』の見どころをそれぞれ教えてください。役者からすると、見どころまで行けているのかどうかとても心配です。

 

佐藤さん:

見どころは、いっぱいあるんだけどな。ひとつは劇中劇なので『春雷』の部分で感動して欲しいと思うんですね。そこを見どころにはしたいけれども、それを囲んでいる「燦SAN」のメンバーと重なる外枠の部分でのドラマも、もちろん観て欲しい。それがどういう風に融合して、ひとつの塊になってお客さんに感動してもらえるかなっていうのが、ここから1週間の勝負かなと思いますけど(笑)

 

加納さん:

今回の芝居は、足利市制95周年のために皆で芝居を創るという設定にしているんです。「燦SAN」のメンバーはシニア劇団というだけあって人生の経験を持っているので、それぞれの経験や良さが出てくればいいかなと思うんです。そこに個々の俳優というか「燦SAN」のメンバーが見えてくるってのが見どころになるかなとは思います。

 

佐藤さん:

個性的ですからね(笑)。

 

うっちー:

個性的過ぎて、とても手を焼かせている私たちですー(笑)。

さて、「燦SAN」の定期公演も数えて4回目になりました。昨年9月には初の試みのドラマリーディング『空の村号』公演も経験しました。そして本番を一週間後に控えた今の「燦SAN」はどうですか?

 

佐藤さん:

『空の村号』はリーディング、朗読でした。「動き」が朗読というジャンルの中では多かったと思うんですけど、今回のお芝居に比べれば少ないですね。『居心』は大人数で舞台を上手に埋めてゆかなければならないので、ミザンス、自分の居る位置ですとか動きっていうのは非常に難しいんだろうなってことは感じてます。まあ一年目にやった『帰心』のときに比べたら本当に動けるようになったし、演劇がどういうものかっていうのをね、団員の皆さんが段々わかってきて、興味を持って自分でも考えて、お稽古に向かってくださってるなっていうのはすごく感じます。ただね、わかってくるにしたがって自分の中でも想いも大きくなるし、団員同志の中で、ああなんじゃないか、こうなんじゃないかというごちゃごちゃと色々なことが出てくるんだと思うんですね。そりゃーどんな集団でも必ず通る道だし、だからまあそういう意味では、演劇人になってきたなと、俳優さんになってきたんじゃないかなーという風に良い方に捉えております。加納さんは、いかがですか?

 

加納さん:

やっぱり皆さん、仕事しながら稽古に来たりしているんで大変だと思うんです。人数が多い場面で一人がちょっとずれたりすると、動きづらくなったり動きが変わったりするのでね、一人が代役に入ろうものなら、そこの動きもどんどん変わってくるので大変ですね。みんな一生懸命に台詞も家で覚えてくれているんですけども、なかなか出ないという人もいますね。
ただ、毎年のことでほんとに不思議なんですが、ホール入りしてからの一週間の伸び率っていうのかな、集中力っていうの感じています。今まで決してサボっていたわけではないんですけれども、この一週間で芝居の組み立て行く力っていうのが凄いんです。それを今日から時間的にも長くなるし、みんなも疲れも溜まって大変だと思いますが、頑張って集中して絶対良い作品にしたいと思ってます。

 

うっちー:

はい、ほんとに、ここまで私たちを引っ張って来てくださったお二人には心から感謝し尊敬しております。
「燦SAN」は旗揚げから継続しているメンバー、今回新たに入団したメンバー、また期間を置いて戻ってきたメンバー、そしてスタッフ専任として劇団を支えるメンバーなど、現在総勢26人で、本番に向けて取り組んでいます。稽古場の雰囲気はいかがでしょうか?

 

佐藤さん:

稽古場の雰囲気ってすごく大事だと思うんです。初年度はね、なんでこんなに集中しないんだろ、ほんとに集中力の無い集団だったんですけど、今はそれに比べたら凄いですよね。いつも稽古が始まる前に「シアターゲーム」ってのをやっています。これは、やった方がいいなと思っているのね。今日この人たちと一緒にお稽古をするんだ、ものを創って行くんだっていうつもりで輪になってゲームをすると、その気持ちが高まって集中力も出てきます。ときどき新聞社の方とかが取材でいらっしゃいますけれども、シアターゲームって楽しそうですねーって皆さんおっしゃるんです。稽古のスタートにはとても良いと思います。あと稽古場の雰囲気っていうのは、楽しさと、もうひとつ、緊張感を楽しむってことが、やっぱり必要になってきています。加納さんがさっきおっしゃいましたけれど、直前の一週間の集中力は毎年良くなって来ているので、お稽古場の中でも緊張感を味わいながら作品を立ち上げていけるよう、段々となってくるんじゃないかと期待しています。

 

うっちー:

旗揚げ公演の『帰心』のときと比べると私たちも動けるようになってきたなと感じます。ただ私たちは、前回やったことを次のときには忘れてしまうというシニアの特性がありまして(笑)、お稽古を積み重ねても、積み重なって行かないというところが大変残念でもあり、諦めの境地でもあるんですけれど、そんな中でほんとに加納さんと佐藤さんには根気強い指導をしていただいています。ここまで私たちを引き上げていただけて、ほんとに感謝しております。

 

佐藤さん:

精神修養だ!(笑) でも繰り返せば出来るようになるもんね。

 

うっちー:

確かにこの4年間の進歩は凄いです。

 

佐藤さん:

そうだと思います。覚えるコツとか、稽古場の雰囲気がどおっていう話があったけど、やっぱり楽になると人間って入って行くんじゃないですか体に。緊張しっぱなしだと、そのときは緊張してクリアしても次の時には忘れちゃうってことあるけど、段々積み重なるんだと思いますよ。

 

加納さん:

稽古自体がね、金土日が主なんで、そうすると月火水木で忘れてしまう(笑)。さっき言ったように残り一週間ともなれば、ほぼ毎日が稽古になるので、だからこの一週間の積み重ねで忘れないうちに本番を迎える!(一同笑)

 

佐藤さん:

だから、ホームページをご覧の皆さん、多少物忘れで大変で無理だろうと思わずに、全然大丈夫ですから参加していただければとー

 

うっちー:

はい、ほんとに演劇のワークショップは、ボケ防止とまったく同じで(笑)、これをやっているので皆さん若々しくいられるのだと思います。

 


皆さん、ありがとうございました。

まだまだ話は尽きませんが、続編はまた後ほど。

 

さあ、見どころ満載の『居心』です。

2016年3月26日(土)& 27日(日)足利市民プラザでお待ちしております。