第3回世代間交流演劇公演『愛さずにはいられない』

2019年3月23&24日
作  ジェームス三木

演出 加納朋之(文学座)

製作 佐藤尚子(青年劇場)

 


■公演プログラム

 

演出 加納朋之(文学座)

 

2019年4月30日平成最後の日です。

「愛さずにはいられない」は遠くなってしまった昭和55年が舞台になります。

主人公の勝利はラストシーンで、もう一度プロポーズします。自宅の黒電話を握りしめて。昭和の時代は好きな人に電話するのにも自宅だと家族が側で聞いています。10円玉を握りしめて公衆電話へ!彼女の家に電話をすると、最初に出るのは決まってお父様。

やっと彼女と話が出来ても、公衆電話の後ろには10円玉を握りしめた人が待っています。いろいろ大変な時代でした。

平成の時代。携帯電話の急激な普及によって恋する若者は10円玉を握りしめずにすんでいる。いまや、会話ではなく文字(LINE)が全盛?

ところが、演劇界に求められているのはコミュニケーション能力アップ?

何を置いてきてしまったのだろう・・あの頃の時代に・・・

「愛さずにはいられない」なんとシンプルで分かりやすい題名でしょう!

 

製作 佐藤尚子(青年劇場)

「愛さずにはいられない」は1982年、ジェームス三木さんがはじめて青年劇場に書き下ろしてくださった作品です。三木さんは、俳優座養成所の5期生で同期には平幹二朗さん、前後の期にもそうそうたる俳優がならんでいます。幸いなことに俳優にならず、歌手に転向。幸いなことに、レコード会社の命名した「ジェームス三木」という芸名だけのこして脚本家に。足利で「愛さずにはいられない」をやりたいとお電話すると快諾くださいました。私は初演の旅公演で頼子を、2002年の再演では麗子先生をやっています。そして「幸いなことに」足利でこの作品をやれるとは・・。もうすぐ平成もおわります。昭和のほろ苦い人情喜劇が今どんな風に受け止めていただけるか・・。三木さんに良い報告ができるようにと願いながら。懐古ではなく、次の時代も人情味ある世の中でありたいと願いながら。

 

足利市民プラザ付属シニア劇団「燦SAN」代表 篠崎正之 【 (24日) 教頭先生 役 】

 

ご来場ありがとうございます。

「平成最後の・・・」が枕ことばのように使いまわされていささかかしましい中、第3回世代間交流演劇公演として昭和のにおい漂う『愛さずにはいられない』(ジェームス三木・作)をおおくりします。

この作品は、ピンクレディーの活躍にも影がさし、モスクワオリンピックのボイコットも起こった1980年(昭和55年)、川崎の定時制高校に通う年かさ独身男性の繰り広げる悲喜こもごもの純情可憐劇です。最近のNHKの調査では、「結婚は必ずしもしなくてよい」が70%近くとなりますが、この劇の主人公はひたすら恋い慕い、ひたすら結婚を願望して猛進する一途な好男性です。前途に幸運あれと切に祈りたいところですが果たしてどうなるのでしょうか。

生気あふれる現役高校生にあおられ、シニア達も張り切っています。ハンカチを3枚ほど用意してゆっくりご笑覧あれ。

 

2019年3月23日

 

ゲネプロ